16の夜
私が昔、歌手の尾崎豊が好きだったので1年違いの、このタイトルにしました。
部屋の中でジッと天井を見つめながら、ただ時間が過ぎていくのを眺めていたあの頃。
僕の16歳の頃の引きこもり生活は、およそ一年に及びました。
時計の針の音が響く部屋で、身なりを整える気力もなく、ただ過ぎていく毎日。
外に出ない生活が続くと、当然髪の毛は伸び放題になります。
一年間で床屋に行ったのは、たったの3回程度。
すっかり長くなった髪のせいで、女の子に間違われることもありました。
鏡に映るボサボサの自分の姿を見るたび、
「あ~あ自分は何をやっているんだろう」
という虚しさがこみ上げてきます。
ふとした瞬間に自分の過去を振り返っては、
「青春を返してくれ~」と心の中で何度も叫んでいました。
毎日が虚しかったです。
世間の同世代が学生生活やバイトを楽しんでいる中で、
自分だけが取り残されているような感覚。
周りと自分を比べては、深く落ち込む毎日でした。
家族に勧められて外に出ても、幸せそうな恋人同士や家族連れ、
友達同士の楽しそうな姿を見ると、ますます虚しくなり外に出たくなくなったのです。
そんな僕にとって、唯一の楽しみは深夜のテレビ番組やラジオでした。
当時はスマホも携帯もないので、家での楽しみはこれくらいでした。
静まり返った真夜中に、暗い部屋の中で耳を澄ますラジオの音声。
オールナイトニッポンとか、テレビの深夜放送とか歌番組などが、外界と自分をつなぐ唯一の世界でした。
生活リズムは崩壊して、見事なまでの昼夜逆転生活。
朝の3時や4時まで起きて過ごし、家族が活動し始める頃に眠る。
酷い時には、夕方の4時や5時にようやくその日最初の食事(朝食)をとる事もありました。
「このままじゃいけない」という焦りは常にあったんです。
でも、どうしても外に出て人に会うのが怖かった。
特に同級生に会いたくありませんでした。
自分は何もしてなくてボロボロなのに、みんなは充実してるように思えて。
そんな時に家族が勝手に中学校の時の先生に相談したことがあります。
この先生は親切心からか教え子の大学生を僕の家に送ってきました。
優しい感じで印象は良かったのですが…
なんと後日、その大学生が連れてきたのは宗教の幹部だったのです。
その宗教に入りましょうと。すぐに家族が断り先生にも苦情を言ってましたが、絶望しました。

人間不信に拍車がかかり、大人や他人に頼る選択肢は、その瞬間に潰れました。
そして何より辛かったのは、一番身近であるはずの家族の理解が得られなかったことです。
「ただ家で起きて、寝て、ご飯を食べているだけなのに一体何が不満なのか?」
家族からそう言われた時のショックは忘れません。
当事者からすれば、生きていること自体が息苦しく、
毎日心の中で激しい葛藤と戦っているのに、
周りからは「楽をしているだけ」に見えてしまう。
その温度差が、僕の心をさらに孤立させていきました。
何も生み出さず、ただ時間を消費するだけのように思える毎日。
あの暗闇の中で過ごした一年間は、今でも胸の奥に消えない思い出として残っています。



